青ベタ君の読書日記📖👓

読んだままに綴ってゆきます。

「コイコワレ」乾ルカ(^_^)vなかなか良かったよ

  中央公論新社  2019年6月10日

螺旋プロジェクト第5弾。太平洋戦争末期、疎開先で出会つた2人の少女の物語。

お下げ髪で伏し目がちの美少女の表紙が印象的です。出会えば必ず争いが起こる海族と山族。その青い目のために同級生からも孤立し、寂しい疎開生活を送る清子(海族)。孤児であり、清子らの疎開先のお寺に引き取られて育った少女リツ(山族)。2人は出会った瞬間から、お互いに激しい嫌悪感を抱きます。清子は母から『これは、お母さんのかわりにあなたを守るものよ。あなただけのもの。あなたのためだけに、お母さんが作ったの』と渡された木彫りのお守りを持っています。大好きな母が作った、蝸牛のような形の首飾りは彼女の心の支えです。しかしリツのある行いのために、大切なお守りは壊れてしまいます。お守りはこのお話の重要なポイントです。

清子を好きにはなれない。でも犯してしまった罪をどうしたら償えるか必死に考え、実行するリツ。清子もまた母から諭され、自分から働きかければ、まわりの人達も変わるのではないか?勇気をふりしぼつて人と関わってゆきます。

相容れる事は不可能でも、自分が変わり、相手を思いやって行動してみれば、世界も少しずつ変わるのではないか?例えそれが海族と山族でも。

その先にあるかもしれない希望。

『・・・・・・ありがとう、リツ』

丁寧でわかりやすく、ページをめくる手を止めるのが難しい魅力のある文章です。

あなたもぜひ、どうぞ(^o^)/~~

 

ご紹介本

「死にがいを求めて生きているの」

   朝井リヨウ、中央公論新社

     2019年3月10日

螺旋プロジェクト第1弾、平成版。あらゆるところから競争という言葉が無くなり、自分の立ち位置を見つけられない若者達の生きづらさ。

このお話の中で一番印象に残ったのは、後半に登場するプロデューサーのエピソードでした。クライマックスシーンで、自分の支えだった物を全否定されてしまう怖さ!あの臨場感!やはりこの作者様は怖いお方だと感じました。でも好きです♪

ご興味のある方は、ぜひどうぞ(^o^)/~~