「クスノキの番人」東野圭吾
実業之日本社 2020年3月25日
人々の様々な想いを受けとめる不思議なクスノキとその番人を受け継いだ青年の物語です。
窃盗罪で捕まつた直井玲斗は、亡き母と腹違いで年のはなれた姉、彼にとっては叔母にあたる柳澤千舟の尽力によつて、服役を免れます。彼女は大手ホテルチェーンの顧問で、初めて会つた玲斗にとっては仕事一筋の厳しい人でした。
彼女は玲斗にクスノキの番人になる事を命じます。新月と満月の晩、訳のありそうな人々が祈念と受念をするためにクスノキの元にやつて来ます。
果たしてそこでは何が行われているのか?
クスノキに預けられた肉親の情、会社の後継ぎ問題等がからんで物語は進んでいきます。なかなか核心にはたどり着けません。全体的にゆっくりした展開です。
千舟と玲斗の師弟関係のような会話が私は好きです。パーティーのための一帳羅を買ってもらい、箱根の高級ホテルに泊まり、千舟の家への出入りも許される。
徐々に生来の聡明さを現し始める玲斗と千舟の抱えている秘密。
その後の玲斗にいつかまた会ってみたいです
「ザ・チェーン連鎖誘拐 ・下」エイドリアン・マツキンテイ
2020年2月25日発行 早川書房
予想を裏切るエンターテイメントの仕上がりになっております。
中山七里氏のご紹介本だつたので、心の葛藤が濃く描かれているのだと思っていました。けれども想像していたよりも淡々とお話は進んで行きます。
前作でカイリーを取り戻したレイチエル。しかし、皆がチェーンの後遺症に蝕まれていきます。薬の助けを借りなければ眠りにつけない。見るのは悪夢ばかり。精神科医にかかつても「事実」は何ひとつ話せないカイリー。日に日に弱っていく娘を救うために、レイチエルは命懸けでチェーンを潰す決心をします。
下巻にはチェーンの成り立ちも描かれています。途中であつさりと真犯人(やっぱりあの人だったのね(*_*))の正体も明らかにされます。
そしてクライマツクスのアクション。これは映画化向けのお話かもしれませんね。
てつきり虚々実々の頭脳戦のお話が描かれているとばかり思っていましたが、ちょっと印象は違いました。
文章は読みやすく、ストーリーも分かりやすく、良く考えられたお話だと思います。
そしてやはり母は強し、女は強し!
ご紹介本📕
「羊たちの沈黙」トマス・ハリス 新潮社 1988年5月19日 ブラムストーカー賞
ジユデイ・フォスター主演で映画化もされました。連続猟気殺人事件の犯人のヒントを授かるべく、受刑者である元精神科医レクターに面会するFBI訓練生クラリス。二人の奇妙な関係。
レイチエルが犯人に気付くシーンの表現が、こちらの作品に似ているなと感じました。
それだけですm(__)m
ご興味深のある方は、ぜひどうぞ。
「ザ・チェーン連鎖誘拐・上」エイドリアン・マッキンティ
早川書房 2020年2月25日
中山七里が推薦する海外ミステリー小説です
「ひとつ。おまえは最初ではないし、断じて最後でもない。ふたつ。目的は金ではなく_〈チェーン〉だ」
離婚と辛い癌の治療を乗り越えて、もうすぐ念願の教職に就こうとしているシングルマザーのレイチエル。
そんな彼女に突然、一人娘のカイリーを誘拐したという電話がかかって来ます。犯人の目的は身代金だけではなく、その後にレイチエル自身が子供を誘拐し、次の被害者にも同じ犯罪を繋げさせる事。それはまさに終わりの無いチェーン。
カイリーを誘拐した犯人自身も息子を人質に取られています。彼らも必死です。レイチエルのその後の人達が誘拐を「成功」させるまではチェーンから逃れられません。途中で逃れようとした人々は一家惨殺です。
まるでゲームを楽しむように彼らを操り、全ての行動を把握している真犯人達。
何故自分が選ばれたのかわからないまま、カイリーを溺愛している義兄に協力を仰ぎ、誘拐を実行するレイチエル。何より大切なのは我が子の命。カイリーのためにレイチエル自身もおぞましい犯罪者へと墜ちてゆきます。しかしどんな事にもハプニングはつき物です。チェーンの輪が乱れようとしています。
チェーンはこのまま続いて行くのか?感じている軋みの原因が気になります。
さあ、下巻をお楽しみに。
ご紹介本📕(^_^)v
「検視官」パトリシア・コーンウエル
「100日後に死ぬワニ」きくちゆうき
小学館 2020年4月13日
題名通りです。ワニ君の死までの100日間を描いた4コマ漫画です。
参りました。ワニ君がいい子なのです。ラーメンが大好き、仲のいい友達を持ち、バイト先の先輩に片思いもしています。
一年待ちの商品を予約したり、友達とゲームをしたり。特に何もなかった日もあります。ごく普通の誰でも送っていそうな日常が描かれています。友達の後押しで、先輩ともいい雰囲気になってきて、これからという時に!漫画の下に、死までのカウントダウンが毎回書かれています。100日だったら読むのに時間がかかると思っていたら、あつという間に読んでしまいました。出来るなら、このカウントダウンを止めてあげたい。
ワニ君が愛おしいです。多くの人に愛されていたのがわかります。
あなたもぜひどうぞ(;ω;)
ご紹介本📕(^_^)v
「ライオンのおやつ」小川糸 ポプラ社 2019年10月7日
人生最後の時を迎える人達が過ごす、瀬戸内海にあるレモン島のホスピス「ライオンの家」。そこへ末期ガンで訪れる海野雫。「享年33歳」自分で呟きます。
彼女の残された時間に、神様はこれでもかというほど、たくさんの素敵なプレゼントを用意してくれていました。
入居者のくじ引きで選ばれ、週に一度全員そろつて味わうその人の思い出のおやつ。徐々に意識が混濁してゆく彼女にとつて、その日をまた一つ迎えられた事自体が、自分が生きて来た日々のカウントになって行くのでした。
作者様の優しさがつまつた、とても素敵なお話です。野暮は言わずにじつくりと小川ワールドに酔いしれましょう。
あなたもぜひ、どうぞ(^_^)v
「ラストレター」岩井俊二
文藝春秋 2019年9月10日
映画「ラストレター」の監督自身によるノベライズ本です。
『君にまだ
ずつと恋してるって言ったら
信じますか?』
素敵ですね。こんな言葉を言われたい。ただし素敵な人限定です。言う方もまた凄いですね。
主人公、乙坂鏡史朗は高校時代の同級生で、生徒会長をしていた遠野未咲が忘れられません。2人は大学時代に付き合っていましたが、彼女は他の男性に奪われてしまいます。
彼女への想いを綴った初めての小説「未咲」。バイトをしながら小説家を目指す乙坂ですが、書くのは彼女の事ばかりです。
同窓会の知らせに、もしかしたら彼女に会えるかもしれない。そして小説家の夢も諦められるかもしれないと、乱れる気持ちで出席します。
けれどそこに表れたのは彼女の妹の裕里でした。実は未咲は子供2人を残し、不幸にも亡くなっております。裕里はその事実を告げるべく、また彼女にとって初恋の人である乙坂に会うべくやって来たのですが、皆に未咲に間違われてしまいます。乙坂は一目で見破ります。
そしてそこから姉に成りすました裕里と、乙坂の不思議な文通が始まるのです。裕里は結婚していて、娘も一人います。乙坂との事を勘違いした夫によりスマホが使えない状態になっております。だから手紙なのです。
そしてそこに、乙坂の手紙を偶然目にした娘達が、それぞれの母親に成りすまして乙坂へ出した手紙も加わっていきます。母親の昔を知りたい。その想いに応えて思い出を綴る乙坂。
全編を通して描かれているのは、乙坂のまるで少年のようにピュアな、未咲への溢れる愛です。とてもロマンチックです。
そしてこのお話には、お金持ちの友人を殺して彼に成りすます映画「太陽がいっぱい」のトム・リプレーの名が繰り返し出て来ます。興味を持たれた方は、ぜひこちらも観て下さい。後悔はしません。
「ラストレター」の映画も観たいです。どんな世界が広がっているのでしようか。楽しみです。
ご紹介映画🎥(^_^)v
「Love Letter」1995年 日本 監督 岩井俊二
第19回日本アカデミー賞作品賞
神戸に住む渡辺博子は、山岳事故で亡くなった婚約者の藤井樹が忘れられません。そんな彼女は以前、彼が住んでいた小樽の住所へ届くはずのない手紙を出します。
しかしそこには彼と同姓同名、しかも容姿は博子と瓜二つの女性が住んでいます。(中山美穂による一人二役)そして彼女は中学時代、樹の同級生でもありました。彼の昔を知りたい博子と、名前に纏わる思春期の苦い思い出を持つ樹の文通が始まります。
とても瑞瑞しく、美しい映画です。昔と今が交差するストーリーと、何といつても、登場人物の皆さまが美しいところが良いです♪中学時代の樹を演じる柏原崇がかっこいいし、樹の親友で彼亡き後の博子を見守る秋葉(トヨエツ)もひょうひょうとしていて魅力的。
ラストもとても素敵です♪
あなたもぜひ、どうぞ(^_^)v
余談ですo(*⌒―⌒*)o
「Love Letter」からは「ふたりのベロニカ」も感じるのですが、それは私だけでしょうか?
最近の事
コロナのせいで先伸ばしになっていた生活の変化が、今頃になって急に押し寄せて来ました。
疲れております😵💨本を読むのもブログを書くのも楽しいけど、今はちょっとお休みしたい。それだけです🙇愚口です🙇
コロナめ(`_´メ)