「天使も怪物も眠る夜」吉田篤弘
中央公論新社 2019年7月10日
螺旋プロジェクト完結。未来版「眠りの森の美女」
“あの〈タワー〉の最上階に「姫」がいる?”
壁によつて分断された未来の東京。そこは不眠が蔓延し、人々は眠りのために薬を求める世界だった。
未公開の映画『眠り姫の寝台』のポスターの主演女優(海族)に魅せられた、ぼんやりした青年シユウ(山族)。彼は予測データによつて選ばれた「姫」を目覚めさせる「王子」だった。そしてその映画の脚本には「姫」が目覚めるまでの様々な予言が記されていたのだった。
次に来る眠りの時代に備えて、シユウは会社から覚醒の薬作りを任命される。その過程で彼は強力な睡眠剤である酒、ゴールデンスランバーに廻り合う。ラムネ、螺旋階段、イソベリイソベラ、渦巻き状のお守り、クジラによつて水浸しにされる数十万冊の本等、シリーズの様々なキーワードも出て来ます。
予言とは何者かによつて、ひそかに導かれていた未来なのでは?「姫」が目覚めた後の世界とは?
螺旋プロジェクト、希望を残して綺麗に終わりました。ゴールデンスランバーを製造するために必要な『百五十年前の少年の息』のくんだりは素敵♪
難点は、とにかく登場人物が多くて覚えるのが大変な事です。しかしそれぞれのキヤラクターが「姫」への道筋を示しております。
ご紹介本(^_^)v
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」 吉田篤弘 中央公論新社 2009年9月1日
ここに出てくるサンドイツチとスープは
とても美味しそうです。テイクアウトしたい。
このお話も映画がキーポイントです。主人公は、古い映画の中の女優に恋をしています。彼女は主演女優ではありませんが、出演している映画がかかる度に、彼はデートと称して遠くの町まで映画鑑賞に出かけます。
お話の後半、映画ファンなら誰でも夢みる、主人公に訪れる小さな奇跡がとても素敵♪
愛すべき佳作です♪
あなたも、ぜひどうぞ(^_^)v