月人壮士(つきひとおとこ)澤田瞳子
中央公論新社 2019年6月10日
螺旋プロジェクト古代、聖武天皇編
前述した「コイコワレ」と同時刊行本でした。文武天皇を父に、藤原不比等の娘、宮子を母に持つ聖武天皇こと首(おびと)の苦悩を、各章のそれぞれの登場人物が一人称で語ってゆく物語です。
娘を天皇に嫁がせ、生まれてくる皇太子の後見人として深く政治にかかわろうとする藤原氏。けれど藤原氏は天皇家にとっては家臣。日嗣の皇太子、そして全き天皇になるべき者として育てられた首の心の傷は、皮肉にも自分を産んだ後に神経を病んだ母と、自身の中に流れる藤原の血そのものだった。崩御した彼の真の思いを確かめるべく、橘諸兄から託された中臣継麻呂、道鏡禅師の二人が訪れる人々から語られる首の姿とは?
何度も遷都を繰り返し、周囲を翻弄させ、仏教に傾倒し、大仏建立をしても、なおも満たされなかった彼の心。
ここでの海山伝説は山である天皇家と海である藤原氏、双方の血を引く首の心の葛藤として描かれています。
なかなか引き込まれる文章でした。
螺旋プロジェクト、未読本は「ウナノハテノガタ」「天使も怪物も眠る夜」2冊。ゆっくりですが、読破目指して頑張ります。
ご紹介本(*^▽^)/★*☆♪
「烏に単は似合わない」安部智里 分春文庫
2014年6月10日
第19回松本清張賞受賞(史上最年少)
日嗣の皇太子ときては、これしかありません。「ヤタガラスシリーズ」第1弾(*´∀`)♪普段は人の姿をして暮らしている、三本の足を持つヤタガラス達の異世界、山内。日嗣の皇太子のお妃となるのは誰?雅な平安調の世界で繰り広げられる、火花散る4人の美しいお妃候補達。思いがけずその1人に選ばれたあせびの運命は?
これは完全にやられました(°▽°)綺麗な心を持つお姫様のシンデレラストーリーと思っていると、とんでもないラストが待っております!!
さあ、ここからが壮大な世界観のヤタガラスシリーズの始まりです♪
あなたも、ぜひどうぞ(^_^)v