青ベタ君の読書日記📖👓

読んだままに綴ってゆきます。

王様のブランチブック大賞2019発表

今回の受賞作は「線は、僕を描く」砥上裕將でした。

  講談社  2019年6月20日


交通事故で両親を亡くした失意の青年が、水墨画との出会いで再生して行く物語です。

主人公の大学生、青山霜介はバイト先で出会った水墨画の大家、篠田湖山からそこに展示されている数々の作品の感想を求められます。的確な指摘に思わず唸る湖山先生。なかでも彼の孫にあたる千瑛のバラ🌹の絵をみて、凄い美人だけど気が強そうで、なかなか結婚出来ないタイプ。と言い当ててしまうところは思わず、笑。

湖山先生がその場で彼を内弟子にする!と宣言してしまった事から、千瑛のライバル心が燃え出します。こちらも当人の気持ちはお構い無しで、彼女から来年の水墨画界での最高峰、湖山賞をかけての勝負宣言をされてしまいます。(お疲れ様)

それでも指導を受けて次第に水墨画にのめり込んで行く霜介。読みやすくて癖の無い文章、彼の心象風景を表す真白で何も無い部屋も、その後どのように色付いて行くのか興味あります。そして湖山賞の行方は?

何より心に残ったのは初めての「ブランチ」の放映時、作者様が描いた美しくて豪華なつる性植物の女王クレマチスの水墨画ですね。ブルーがかった墨の濃淡だけで描かれる芸術品♪写真のアップが出来ないのがとても残念です(T_T)

西洋画とは違い、やり直しのきかない水墨画の世界。まさに「線は、僕を描く」の世界を体現しているようで感動しました。

他にも揮毫会(水墨画を公開形式で描く事)等、普段知らない世界を見せて頂きました。

作者様自信も揮毫会で水墨画に興味を持たれたそうです。

「蜜蜂と遠雷」「鏡の孤城」「そしてバトンは渡された」等、近年の「ブランチブック大賞」に選ばれる作品は本屋大賞受賞率が高いです♪

発表が楽しみですね。

本作は辻村深月も受賞したメフイスト賞の受賞作でもあります。これからのご活躍を期待しております。

 

ご紹介本

「羊と鋼の森」宮下奈都、文藝春秋

                      2015年9月11日発行

2016年本屋大賞1位。ピアノの調律に魅せられた主人公の青年が、つまづきながらも、ただひたすらその世界を追い求めて行くお話です。美しくて引き込まれる文章。静かで確かな情熱が伝わってきます。

ご興味のある方は、ぜひどうぞ。